雷火の魔女が掲げた腕から光球が生み出され、広くを周囲を照らし出す。
壁際で燃える松明の揺らめきと頭上の魔法の光を受け白刃が煌めく。

「ミーナはどこだっ!!」

少年が吼える。その動きは風の後押しを受け、先程の戦闘よりも、

「精度が上がって、来ている」

サイードは戦斧で少年の攻撃を受け止める。彼の剣筋は真っ直ぐで、決して基礎鍛練を疎かにしていないとわかる。
だがサイードは先程の戦闘で少年の戦い方を見ていた。対し、少年はこちらの戦い方を知らない。
だからサイードは懐に入ろうとする少年の動きを見切り、斧頭で胸元を突き上げた。