「ま、その辺はいいわ」

仕切り直しとばかりにテロルが手を叩く。

「次はあたし達の事情ね」

その姿勢のまま首を傾げる。

「……おっと、そういや自己紹介もまだだったかしら? あたしは魔導師で、サルファーは使い魔ね」

「魔導師? 魔法使いとは違うの?」

聞き慣れない単語にケトルは疑問符を浮かべる。

「そうねぇ。魔法使いってカテゴリの中に色々な職業があるの。魔導師はそのうちの一つって思ってくれればいいわ」

「う、うん」

わかったようなわからないような気持ちでケトルは頷く。

「わかんなかったら『そういうもんだ』で流して頂戴。んで、あたしも魔法使いの範疇だから、大陸魔法使い連盟に加盟してる。要は寄合いね」

その組織の名前はケトルも聞いたことがあった。国家や民族、種族を越えて存在する「魔法使いによる世界平和」を理念に掲げる一大ギルド。五百年前の大戦以降大規模な戦争が起きていないのは、彼らが抑止力となっているからだと聞いている。