店員は虎縞の猫でした。この国には猫が多いです。彼女の茶色い毛並みは清楚なエプロンドレスの白に似合っておりました。
珈琲の注文を受けるにあたり店員からあれこれ珈琲豆を見せられました。どれもわたくしの拳くらいの大きさがあります。これが一杯分になるのだそうです。決められなかったので店員に任せると、クセのすくないという品種を選んでもらいました。
中央の機械に豆を入れると、すぐさま管の中を湯が巡り始めました。豆の投入口や管は九つくらいあり、同時に違う種類の珈琲を淹れることが出来るということです。わたくしは珈琲の淹れ方を知らなかったので、目に映るもの全てが物珍しくてなりません。

混雑の都合により相席となった先に座っていたのは、身なりの良い犬でした。それも、体格や仕草から判断するなら自分で獲物を追いまわす類いの猟犬です。わたくしは内心冷汗をかきました。この犬がどうこうではなく、本能がそうさせるのです。