空の色は青から白、白から赤へと移り変わっていた。朝焼けが雲を焦がし、辺り一面を極彩色に染め上げている。
マイトはいつもの給仕服に着替え、何をするでもなく廊下から空を見ていた。

「あんたって意外と早起きなのね」

声に振り向くと、客室から出て来た娘がこちらに歩いてくるところだった。年の頃なら二十歳の、小柄な娘である。寝間着ではなく、動きやすそうな上下に身を包んでいた。艶やかな紺色の頭の上では彼女の使い魔が欠伸をしていたが、彼女の表情に眠気は無い。

「おはよう、テロルさん」