『魔探偵×ホームズ』
多宇部貞人


たまたま読んだ「電撃の缶詰」という電撃文庫の新刊案内冊子の中で目に止まった作品です。丁度少年漫画っぽい作品を読みたい気分でしたし、『封仙娘娘追宝録』熱がぶり返していて「武器化」の単語に心踊りました。ということで購入。
表紙から少年漫画っぽさを感じましたが、挿絵担当の加藤よし江さんはガンガン系列で漫画を描いている人だった模様。

内容は「十年前に魔法が失われた世界でホームズが相棒ワトソンと共に十二星座の名前を冠する魔石を集める」という異能力バトル物です。…ちょっと設定盛り過ぎじゃないですかね?思わず大丈夫か心配になりましたが…まあこれはこれでと思ってしまったので私の負けです。
ちなみに断じてミステリではないです。活劇に振り切っています。
のっけから切り裂きジャックとバトってますよ!

ネタバレは避けますが、ストーリーは中々に熱く、実に少年漫画的な面白さがありました。キャラクターも好み。世界観もツボりました。
でも一点だけ残念なことがあります。それはキャラクターをホームズにする必要性を感じなかったということです。原作は『緋色の研究』しか読んだことが無いですが、原作のイメージがかえって読み進める上で邪魔になってしまいました。ホームズやワトソンという既存のキャラクターを使わなければもっとのめり込めたかもしれません。

キャラクターに関しては、ホームズが超の付くツンデレでしたが、軽く調べたら原作からしてツンデレらしいので何も問題ないですね。読者視点から見るとデレ部分がバレバレなのが微笑ましかったです。
ただ、そのせいか、個人的には作中で想定されているだろう年齢よりもなんとなく若く――具体的には少年くらいの年齢に見えてしまいました。あかんですね、ただでさえ原作よりも若くなっているのに更に若い姿でイメージしては。
十年前に少年だった頃のあれこれも気になるところです。
バリツって文字を見るだけで笑いが込み上げて来るのは某ミルキィアニメのせい。

ワトソンに関してはちょっと気になったことがあります。
十年前の死亡時は少年で、現在の外見は成人男性との文章がありますが、魔装人器も外見が成長するのでしょうか?この辺よくわかりませんでした。

そんな主役二人の信頼関係がこの作品の肝です。ラノベには詳しくないのですが、男二人のバディ物が電撃文庫から出版されるのって珍しいのでは?他所ならワトソン役が女性になりそうな予感がします。

いやぁ、良かった。久々に熱いラノベを読みました。
仮面貴族との問答からホームズが異能解放するまでの流れは本当にドキドキしながら時間を忘れてページをめくりました。敵がしっかり驚異的に書かれているというのが個人的にツボです。

他に個人的なツボといえば、小さなことですが、
「首の後ろのパーツから余剰エネルギーを排気」
とか、
「現実世界に重ねる様に作った異空間からアジトを現実世界側へ浮上させる」
とか、もう物凄くツボなんで、それだけでありがとうございますって気持ちになりました。

個人的には当たりです。続巻出れば買います。
応援のために同作者・同イラストレーターの『封神裁判』と『ラグナロク・トライアル -新・封神裁判-』も購入させて頂きました。
実はもう読み終わっているのですが感想が追いつかないんですぜ!




追記はエグい設定スキーとしての呟きなんでご注意下さい。
読んで気分が悪くなった等の苦情は受け付けません。