「オレの幼馴染みを紹介します。いやごめん嘘。めんどい」

「朝っぱらからルカがうるせえ――――!!」

「幼馴染みが奇声上げたり、奇行に走ったり、挙句にわけわかんねえことにオレを巻き込んだりするのが日常になってる時点で何かが手遅れな気がしてきた」

「通・報・逝っとく?」

「手軽に旨いものが食べたいけど自分で作っても旨くないのでカップ麺という結論に至った」

「スカートは好きじゃない。だって生足とか恥ずかしいじゃねーか」

「うーわ何だあいつ。まるっきりイカれてやがる」

「ルカのテンションがおかしいって? いやあれ通常運転。100%本気」

「そう簡単にテンション上がってたまるか」

「あー、ネトゲしてたら夜明けだあー……。太陽が憎い……たまには逆回転してみろっての」

「ルカ、何でオレがあんたの夏休みの宿題を手伝わなくちゃいけないんだ」

「よぉユミナ、相変わらず二枚目だな。何で足挫いた後輩女子をお姫様抱っこして保健室に運んだよ? 彼女すっかりあんたに惚れてたじゃねーか」

「最初の頃はユミナのこと、もっと清楚な大和撫子だと思ってたんだが……所詮は幻想だった」

「こえーよ。ヤマトの化けっぷりがこえーよ。完璧に女子になりきってやがる」

「わり、ヤマト、ここの解き方教えてくれ」

「櫻井家の玄関とオレの部屋の大きさがほぼ同じってどういうことだ!?」

「フミヒラー、あんたいつも音楽聴いてるけどオススメの曲ある? たまには新境地開拓したいんだ」

「あー……。フミヒラって、実は天然?」

「ナオの食べ方ってウサギみたいだな。可愛い可愛い。いやいや怒るなよー」

「へー、写真部の展示やってんだ。ナオの作品どこよ?」

「うちのクラスは圧倒的にツッコミが足りねええええ!!」

「待って。今ケータイ小説読んでる」

「オレが少女漫画読んじゃ悪いかよ。たまにルカのを借りることもあるっての。あいつの持ってる少女漫画はドロドロしてないからいい」

「恋愛の歌も普通に聴くし、カラオケで歌ったりもする。愛とか恋とか経験したことねーけど」

「リス可愛いっ……! うわ、うわわわわ……! 撫でていい? 撫でていいよな!?」

「ふきゅううぅ――――!! かわいいよぅ――――!!」

「……んだコラ泣かすぞ。全米みたいに。全米みたいに!」

「あの高校って今度の土日に学祭らしいんだけど、偵察行く?」

「ル――――カ――――!! あのばかぁ――――!!」

「最近気付いた。ルカに振り回されるのも悪くないってことに。怖っ……何これ洗脳?」

「娘の誕生日にはきっちりメール寄越すんだよな、うちの両親。……時差のせいで一日ズレてっけど」

「カフェイン足りね」

「じいちゃん。あんたがいなくても、オレはなんとかやってるよ。沢山の人に支えられながら生きているよ」

「オ……ワタシの志望動機は――ってルカ、笑うな。面接試験の練習にならねーだろ!」

「ぶっちゃけオレが一番『ワタシ』に戸惑っている」

「ルカは、ただの幼馴染み。家族ぐるみのお付き合い。……だけど、暖かく賑やかな隣人一家に招かれるたび、どうしようもなく自分はこの家の住人ではないのだと痛感してしまう。こんなこと、昔はなかったのに」

「出会った頃はルカとケンカばかりだった。気付けば仲直りして、いつも一緒に遊ぶようになった。でもクラスが別になってからはそんなでもなくなって、中学入ってからは疎遠になってた。それが今年からこれだよ。どういうことだよ」

「寄りかかるんじゃなくて、並び立つような関係でいたい。あんたが隣にいないのは嫌だ……!」



 * *

千織「パソコン部だけど何か質問ある?」
ルカ「ちおりんは何でそんなにテンション低いの!?」
ユミナ「そんなのルカの壊れテンションとのバランスを取っているに決まってるでしょう。全く、大概にして下さいよ」
ヤマト「凸凹だからこそ合う部分ってありますよね」
ルカ「んふー。まさにあたしたちらしいわよねん」
ナオ「ところで、あの……途中何があったの?」
フミヒラ「あの発狂か?」
ナ「あそこだけ普段のぶっきらぼうな感じがなかったから……」
ヤ「こら、人には訊かれたくない事情の一つや二つあるものです。そっとしておいてあげましょう」
フ「それが人情ってやつだろ?」
ユ「きっと千織も疲れてたんですよ!」
千「止めろ。可哀想な子を見る目は止めろ」