…あっ

シャニマス三百六十二日目。

トフェルトゥギフトがBランクフェスアイドルになりました。
ビジュアル型です。準決勝ボーカル一位、決勝ボーカル一位。動き方ミスった感あります。
trueチャレンジは続く。

二十連でメモリアルピース。

一次創作小説「彼女の話」K

ミーナはこめかみを擦る。知らない筈のことなのに、知っているのが当たり前になってきている。
不意に気付く。そうなるように仕向けられていたのだと。この服も魔力を通しやすくする物であり、食事には少しずつ覚醒作用のある薬物を盛られていた上に、この馬車にも魔術がかけられている。
ここは走る虫籠だった。ミーナを妖精にするための。

「混乱するのも無理はありません。お辛いでしょう。苦しいでしょう。逃れるすべは唯ひとつしかありません」

「そんな方法が……?」

エラムはミーナを安心させるように微笑んだ。

「ええ。自分が妖精であることを受け入れるのです。昨日までの、人間だった貴女はもういない。貴女は生まれ変わったのです、プリンセス。とても喜ばしい事です。……そして、羨ましい。今や貴女は魔術師たる私以上の力があるのだから」

それは違うと思った。力は元々あったのだ。ミーナがそれに気付いていなかっただけで。

「……一人に……してください……」

やっとそれだけを言えた。
エラムは顎に手を当てて少し考えるそぶりをしたが、快諾し、侍女を連れて退室する。どうせ扉の外に侍女は立たせるだろうし、ミーナの様子は何らかの魔術で逐一知らされているのだろうと翅を通じて把握する。
寝台に横たわりながら、馬車の外で白んでいく空が天井越しに「見えた」。どこまでも人間から離れていく自分を抱きしめる。震えが走るのは汗を大量にかいたから――そう思うようにした。

「わたしは妖精の女王の娘……」

呟く。そうすることでほんの少し、体が休まる。

「……でも、お父さんは人間で……」

きり、と胸が痛んだ。輝きと共に背の翅が霧散していく。

「わたしを育ててくれた人達も……人間です」

シーツを掴み、枕に顔を押し付けた。必死で堪えていた嗚咽が漏れる。

「どうして受け入れられましょう!? わたしは、わたしは……!」
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