焼けたばかりの餅に、醤油をつけて食べる。パリパリとした表面に醤油が染みていく。湯気のあるそれをかじれば、弾力が歯に返り、舌先に熱を受けた。感触を楽しむように醤油を舐め取る。焦げ目の苦味が飽きさせない。
「いいな、これ」
冷えた体が内側から温められていく。
「お餅はこうでないとねん」
「あっつ」
「あらん、やけど?」
「大したことないと思う」
「念のため、飲み物もらいに行きましょ」
紙皿を手に持ったまま、町内会のテントに向かう。周辺ではエプロン姿の人達が忙しく動いていた。婦人会だ。ルカの母親もいる。
オレはミネラルウォーターのペットボトルをもらった。
「水無瀬さんのお孫さんじゃねーか」
「おんや。ずいぶんと大きくなったねー」
「ほんに」
テントの下で休んでいたお年寄り達が、次々に話しかけてくる。