フランは言う。買ったばかりの買い物袋を抱きしめて。
「ケッコンって、お父さんとお母さんになることなのよね?なら、まだ子どもで、お母さんになれないあたしはお嫁さんになれないでしょ? せいぜいアイジンが関の山なんだよね」
「何をやさぐれているのさ! だれかを好きになるって、もっと楽しくてステキなことなのに!」
「あなたも知らないじゃない」
ロジーは一瞬言葉に詰まった。
「知らないけどさ……。でも、好きな人に振り向いてもらえるようにがんばるのも恋の醍醐味って町のお姉さんたちから聞いたのさ。フランちゃんも何もしないうちからあきらめる前に、ヘリオスさんに向き合ってみればいいのさ」
「だから、そういうのじゃないって言ってるでしょ? あたしは保証がほしいの。明日もそれからも、ずっと先までつづいていくっていう安心。それがたまたまヘリオスさんだったってだけ」
「……フランちゃんは本当にヘリオスさんのことが好きなのさね?で なきゃ、ケッコンしたい、してもいいって思わないはず……なのさ」
フランは溜息を吐いた。細く、長く。
「好きな人がケッコンあいてになるわけないじゃない」
「え!? えええ!? どういう意味なのさ!?」
「……あなたって平和でいいね」