多宇部貞人


女の子メインではなく料理対決メイン、それを通して料理とは何かを問いかける一作。

表紙とあらすじを見た段階では、私の趣味ではありませんでした。いざ読んでみたら、しっかり多宇部氏の作品でした。終始ハイテンションだったのに、何故か最終的に爽やかな読後感でまとめる手法はこの作者の持ち味だと思います。
また、刊行時期と作中の季節を合わせてくるのも多宇部氏の特徴です。夏の始まりの朝の空気がぴたりと嵌まり、作品世界の空気がリアルに感じられました。
途中のコメディパートは生憎私の趣味に合わなかったため、ややこってりと感じられましたが、途中途中の街の風景や何気ない描写のひとつひとつはさっぱりと心に沁みました。

話が二転三転して続きが気になる系の作品ではありませんでしたが、前述の通り読後感が良いので、続きがあれば読みたいです。