ろくごまるに御大の著作を再読中です。


作中の季節は冬。寒鰤が美味しい季節です。
時系列は、前巻の後に鏡閃の屋敷に行ったくらい。期間はそんなに空いていなさそうです。


この巻は構成が光っていて、しかも巨悪を力を合わせて倒す展開なのでとても熱くて好きなのですが、思いっきり続き物のため、この巻だけ読んでも話の内容がわからないというのがオススメするのに難点ですね。
地味かもしれないけど、圧倒的不利な状況を知略と限りある手数で切り抜けるのはオツなものですね。

童話調の語り口と複数人の視点が混ざり合い、この内容で纏まるのかと思いきや、最終的にきっちりと収束させる手腕。流石です。

いつもよりも和穂と殷雷の出番が少ない気がしますが、やはり主人公、ラストのあのシーンでバシッと決めて、存在感を見せつけてくれました。そこまでの流れで村人達に感情移入していたから尚更です。
もしかしたらあのシーンを際立たせる為にあえて出番を少なくしていたんでしょうかね。
個人的にはろくごまるに作品で一番カタルシスを感じる作品です。


だいにしてひとつなるもの。

ところで寒鰤のお茶漬けが食べたくなりました。ちょいちょいご飯が美味しそうな描写を挟んで来るのがずるいです。
デビュー作で「さっぱりとしたアスファルト味のそぼろ」とかいかにまずそう…いえ、尋常ならざる味を表現するかに苦心していたっぽいのに、封仙シリーズだととにかくご飯がおいしそうに書かれています。海鮮系が多いですね!短編だとさらに料理のバラエティーに富むからお勧めです。
そして殷雷の包丁弄りが留まるところを知りません。

お客様の中に龍特攻をお持ちの方はいらっしゃいませんかー!?
砕鱗槍術のピンポイントメタ能力っぷりには笑ってしまいましたが、活躍シーンは熱い!
活躍すべき道具が活躍すべき場面で惜しみなく使われている、簡単そうに見えて難しいですよこの展開。言ってしまえば非常にツボです。

案山子が結界力場を発生させたり、制流旗の展開シークエンスとか、宝貝の能力も面白いし書き方も面白いです。こんな宝貝がぽんぽん登場するから本当に豪華です。

んで、恵潤刀に続いて四本刀の一振りが登場です。
混沌の大帝、あるいは路地裏のひまわり、静嵐刀。…何で彼だけこんなに異名が多いんですかねえ。しかも巻が進むごとにしょーもない異名が増えていきます。
ええ、一番好きなキャラです。個人的なポイントは、とてもじゃないが武器の宝貝とは思えない言動に対するギャップ萌えと、なのに武器の宝貝だから普通に戦えば普通に普通ということです。一応殷雷や恵潤とひとくくりと考えたら、そこらの人間よりは強いんですよね?(不安)
また、名が体を現しまくる封仙世界において、「静かなる嵐」という迷惑度合いから考えたら納得しかない名前も素敵です。

そんな静嵐大帝を(勘違いで)崇め奉る儀堂さんも好きです。封仙世界では貴重な悪の幹部的なお方。柴陽にやったことは下衆ですが、悪役としては正解です!
律令笛を使っている挿絵が好みというのもあるんですがね。
おっと、疑問を自然に問いかけたりするような素の儀堂さんも好きですよ。誤解を招きそうな書き方ですが気にしない。
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