多宇部貞人『青の海賊剣士』を読了しました。
作者の前作と前々作が凄く面白かったので今作も購入。


そういえば海賊が主役の小説は読んだことがなかったです。
何分詳しくないもので、名前の元ネタがわかったのはフランシス・ドレイクだけでした。メアリーは女海賊?それとも女王?


それはさておき内容は、海賊のロマンと自由を謳う、ド直球な海洋アクションでした。
幼馴染みの少女を助けるための秘宝を求め旅をする少年が、旅の途中で出会った姫剣士の抱える問題を解決するお話。
涙を奪い、笑顔を取り戻す!
うーむ、まるで少年漫画の読み切りを読んでいる気分になりました。
読後感はかなり爽やかです。

…ただ、悪く言ってしまえば、ありがちな話でもありました。秘めた力が怒りで覚醒とか、騒がしいマスコットキャラとか、男装の姫剣士とか、次の台詞がだいたい予想がついてしまったモブの連中とか…。面白かったけれど、特筆すべき物は無いというか、個人的にはもう少し捻りも欲しかったような。これは私の個人的な趣味の問題ですが…。
また、台詞が続くシーンで誰が喋っているのかわからなくなることもありました。テンポ的に一旦地の文を挟んで欲しいと思ってしまいました。

わかりにくいといえば、冒頭か巻末に世界地図が欲しかったです。なんだか地名がたくさん出て来ても、あまり頭に入って来ませんでした。

あと、いきなり機械とか出て来るからびっくりしましたが、見返したらカラーページで既にメカメカしい人がいましたね。国によって文明レベルがかなり違うのですね。


キャラクターだとウルが癒しでした。話の筋に関係無い位置で豪快に笑うキャラがいると視点が広がっていいですね。その弟のズールもいい味。こういう連中とたまに共闘するのが熱いと思います。王道ですね。

そういえば、ドレイクさんの出番が思ったよりも少なかったのが意外でした。

ところでアニーのデザインは、下半身が斬新通り越して危険じゃないですかね…。モンスター娘よりも肌色なんですが。規制的にアリなんだ、と思いました。
いや個人的にはこういう異形デザイン大好きなんで最高ですね。


なんだかんだ書きましたが、物語の続きが気になってページを捲る手が止まらなかったくらいには楽しませて頂きました。
ベタなんですけれど、それを楽しむ作品だと思います。