火浦功氏の『ファイナルセーラークエスト』の補完計画が2011年に朝日新聞社から刊行されていたことを知って愕然としています。
ブコフ梯子しても見つからないので、密林さんで注文すべきか悩むところです。


ちょっと解説。

『ファイナルセーラークエスト』とは、1993年にログアウト冒険文庫から刊行されたラノベです。挿絵は竹本泉氏。

地価が高いからというだけの理由で魑魅魍魎が蔓延るダンジョンの中に「住居以外の全ての施設」を建築した、ちょっとどころではなく変わった街が舞台。主人公は地下10階にある高校に通う女子高生です。
つまり通学路もダンジョンであり、モンスターとエンカウントもします。保健室に間に合わなければ普通に死ぬこともあります。

そのくせ作品のノリは終始「のほほ〜ん」とお気楽で陽気です。

転校生故に街の事情に疎い主人公は、モンスターに襲われても
「やっぱり東京の高校って厳しいのね」
程度の認識で、「そんなことより」遅刻を心配し、その母親も
「それだけ受験戦争が激しいってことよ」
と返す尋常ならざる状態。

しかしこのいい加減さが良いのです。脱力のファンタジーです。
タイトルがモロにス〇エニの「アレ」と「アレ」を足して割った感がありますが、しかし内容的にはウィザード〇ィの方が近いです。
プレイしたことはないですが他人のプレイを見ていたことはあるため、〇ィザードリィ的なワイヤーフレームダンジョンを想像しながら読んだら凄く楽しかったです。


2002年には角川スニーカーから完全版が刊行されました。挿絵はスギサキユキル氏。

購入後に紛失したせいでうろ覚えですが、短編が二つ?くらい追加されていました。


さくっと気楽に読めるのでおすすめです。