年代記(仮)の世界では、宗教は大きく三種類に分類されます。一柱の神を崇める一神教、二柱の神(多くは悪神と善神)を崇める二神教、様々な概念を神格化し崇める多神教です。

都市ごとに語ってみます。


〇アルナー
エーリ教正統派の教会があるため、大半の住民はこの教会の教えに倣っています。
(例外:エクセドラ家、ラツィ→後述)

このエーリ教というのは、預言者エーリが神から託された教えと教典に倣う宗教です。
ポイントは「神に救いを求める」こと。
信仰の対象は唯一にして絶対の「神」あるいは「主」と呼ばれる全知全能の創造主。神の御名を口に出すのはとても恐れ多いことなので、絶対に正式名では呼びません。
エーリ教は大陸西方から北方にかけて盛んで、フェンデルク王国では国教です。
勢力を拡大する過程で土着の民族宗教を吸収したり、あるいは教典に対する解釈の違いから、幾つかの宗派に分裂して宗派間で睨み合っています。

「正統派」とは、エーリ教が勢力を拡大していく過程で土着のアミニズムを取り込み、樹木や岩等の自然物も信仰するようになった派閥です。
例えば、老木は傷つけてはならないとする教えや、冬の終わりには人形を燃やして春の迎え火とする習慣等は、エーリ教とは別の宗教から流入した慣習です。

※アルナーの例外
@エクセドラ家(クロス)
ヘリオス達は祈るべき神を持たない無宗教です。そもそも、魔物は神に祈る習慣を持ちません。魔物を先祖に持つ彼らはその伝統を受け継いでいます。
彼らのスタンスは「神がいてもいなくても構わない」というものです。無宗教とは神を否定するのではなく、信仰しないという宗教です。「俺達はこういう考え方だけど強制するつもりはない」という意識です。
アルナーにエーリ教をもたらしたのは入植時代に移住して来た人間達ですが、エーリ教に改宗しなかったのはささやかな抵抗。
ちなみに人間であるフランやヘリオスの父はエーリ教です(ただしミサ等に出席しない程度には信仰深くはないです)。

Aラツィ
ラツィは特定の宗派ではありませんが、オーラム教神秘主義派の影響を強く受けています。
オーラム教も一神教ですが、神に救いを求めるのではなく、神という高位の存在に辿り着くために修行をするという宗教です。
ポイントは「神を人の至るべき到達点と考える」こと。
教えの実践を重視し、神と同じ位置に至って初めて苦しみから脱却できると考えます。そのためにはいくつもの戒律を守らなければならなりません。鳥と兎以外の肉を食べことを禁じる等、戒律は日常生活にも密着しています。
そんなオーラム教の中でも神秘主義派は魔術の思想体系と結びつきました。この流派が勢力を誇っていた時代に魔法から魔術への変遷が起こりました。
昔はメジャーでしたが今はマイナーな宗教という扱いをされています。


〇ユリウス
東西南北の文化が交ざり合う交易都市は、多種多様な宗教とそれを認めるする寛容な風土があります。

エーリ教正統派の教会もありますが古典派の教会も建っていて、大半の住民は正統派か古典派の信者に分かれます。
この古典派とは、エーリ教が土着の宗教を取り込む前の形を保っていて、より厳粛な性格を持っています。
ちなみにレファルの生家はガチガチの古典派だったため、レファルも一応はミサに出席しているようです。

※ユリウスの例外。
@白堊、慧羽、パル…オーラム教
ただしエレミヤ姉妹とパルの流派は異なり、エレミヤ姉妹の流派の方が戒律が厳しいようです。
信仰心は白堊>パル>>>慧羽。慧羽はある一件から神はいないと考えるようになりましたが、白堊はそれを知りません。

Aリャオ…祖霊信仰
先祖の霊を奉るというもの。彼の民族は「長=神に等しい存在」という考え方をし、故に家長の言葉は絶対です。

Bサーディット…クルガ系の民族宗教
神は己の内に在るとする考え方をします。エーリ教のように神に救いを求めるのではなく、オーラム教のように神に近付くのでもなく、あるがままの神を受け入れ、「自分達を生かしてくれている神という存在」に感謝を捧げます。


〇その他の街
面倒なのでキャラごとに。

・マリア、チィ…エーリ教正統派
マリアが住む村も正統派の教会があり、その影響です。
チィはハッシュに拾われたのでハッシュと同じ宗教です。

・マイト、ハヴァ…オーラム教神秘主義派
マイトが生まれた時代は神秘主義派が盛んでした。マイトは神が人間を創ったことを再現するために人間が創った人形であり、最初の人間の名を元にした名前をつけられました。だからマイトは創造主たる人間を神様だと思って接するけれども、人間にとっての神もいるわけで、最初の頃は一神教の教えに倣いながらも多くの神の中に身を置く自分の在り方に悩んだり色々。

・クロム、瑞華…竜神信仰
カナン人は五大竜(神竜・風竜・火竜・地竜・水竜)を神の遣いとして信仰しています。多神教国家。

・ケトル…エーリ教古典派
ケトルの村にあったのが古典派の教会でした。

・ユウ…精霊信仰
砂漠に住む民族なので自然の脅威を身近に感じ、身を守るために精霊の加護を求めます。特に水は崇拝の対象です。あらゆる自然物に神格を見いだします。

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