「他人を蹴落としても、『自分の絵』が描けるわけじゃないですよ」

「いくら他人を蹴落としたからって、自分が前進できるわけじゃない。ただそう錯覚してるだけ」

「たとえこの絵がなくなっても、また誰かの新しい絵が許せんくなる。たとえうちがいなくなっても、また別の誰かが気になって仕方のうなる。その心が満たされることはないんじゃ」

「芸術は他人との闘いなんかじゃない。親も、周りも、関係ねぇんじゃ。自分のためにやるもんじゃろ」

「たった数年間でも輝くことができたやつ、多くの人のなかでひとつでも作品と名前が一致するくらい、人の心を動かせたやつっていうのは、それだけでもすごいんだ」


『ピカソになれない私たち 一色さゆり』より

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