(com top bkm)

モールス



スウェーデンの映画「ぼくのエリ」をハリウッドでリメイクした今作。
「ぼくのエリ」の方は未見ですが、なんの問題もなく楽しめた。
観た後に大満足だー、と思えた作品は
「ナイト&デイ」「インセプション」に続く今年3作目。

残酷なのに、どこか綺麗で切ない物語。
救いようのないラストがまた良かった。
あの二人もまた同じように悲しい未来をたどっていくんだなと思うと観終わった後にもじんじんくる。
キッチンでのシーン、「あの少年とはもう会うな」のメッセージの意味が判ったとき、
オーウェンとアビーだけじゃなくて、あの名の知らない彼さえもこんなに悲しい存在なんだと知る。
なんだか全体を通して希望が見えないのに、
観終わったあとに不思議と
「あー、良い映画だった!」とすっきりできる。

今話題のクロエ・グレース・モレッツはやっぱり良かった。
初めて映画に出てるのを見た時は(500)日のサマーで
端役なのに可愛い子だなー、と思っていた。
そのキック・アスでまさかのヒット・ガールでばりばりアクション。
からの、モールス。 残忍なはずなのに、どこか儚い少女。
なんでクロエってこんなに魅力的なんだろう…。
ハリウッドで引っ張りだこになるのも納得。

この映画で唯一不満だったのは邦題。
「モールス」て。「モールス」て!
たしかに映画予告は作りやすそうだけど、
そんなにモールス信号重要じゃないしね。
観てるこっちは何言ってるか判らないし。
まあ判らないのも演出のうちかも知れないけど、
原題「LET ME IN」の方が断然良い。
こっちの方がどことなく怖そうなイメージあるし、
実際映画観終わった後に、
あぁ、LET ME INてそういうことかぁ…って
劇中の設定と重なって更に胸に切なさがぐさぐさくる。

スリルとラブの絶妙なバランス。
アビーとオーウェンの距離が縮まっていく様子にきゅんきゅん。
グロいシーンもちょこっとあったけど、
オーウェンに対するいじめのシーンもなかなかきつかった。
あんなほっそい体で、もう骨折れるんじゃないかって
はらはらして見てられなかった…。
でもこのスリルも映画館の
あの大画面スクリーンと大迫力の音響でこそ活かされるわけで。
是非劇場で観てください。「LET ME IN」で。


-エムブロ-