■「よー!蘭姫!」
「あ、おはよう、戒・・・・!・・・・・姉さんは?」
戒は華桜中の2年生。先輩にあたる存在だが蘭姫とは名前で呼び合う仲である。
「あぁ。多分生徒会の仕事じゃねぇの?白刃と生徒会室の方に行ったぜ?」
そっか・・・・・・・・
白刃先輩は蘭姫の好きな人である。
「いいなー・・・姉さんは。私も生徒会・・・目指そうかな。」
と、不意に生暖かい風が吹いた。
「・・・!??」
戒が何かに気づいた瞬間・・・・・・・彼は目の前で白い石像ののように石になった。
「・・・戒!????」
驚く蘭姫。
気づくと戒だけでなく周りの人間もみな同じように石になってしまっていた。
「おかしいな・・・・俺の能力を使えば意のままに人を石に変えられる・・・だがなぜおまえは変わらない。」
「・・・・!????」
ここは校庭。蘭姫が空へと顔を上げると今朝会った男が宙に浮いていた。
「あ・・・・・あなたは・・・・・!??」
「蘭姫・・・!!!!」麗姫が近づいてくる。
「そいつは13日の金曜日の怪異・・・!」人を石に変えその欲とエネルギーを自分の糧とする石化能力を持つ妖怪だ・・・・・!!!!!
「え・・・・・!????」
「ほう・・・よく俺のことを調べてあるな。・・・・・・・つい最近封印が解け眠りから覚めたわけだが・・・・・・・・俺は腹が減っている。・・・・・お前たちも・・・!!!」
”石になるがいい・・・・!!!”
「気を付けて・・・蘭姫!こいつは華桜中の裏山に封印されていた・・・・きゃっ!!!?」
「姉さん・・・・!????」
なんと麗姫が蘭姫の前で石になってしまった。
「数百年前に今はどこかに消えてしまったこの街の・・・いや村時代の守り神。
破邪鬼と言う名の鬼の一族が封印した・・・・・・・厄災を司る鬼らしい。」
そう語るのは白刃である。
「僕と麗姫は古い古文書を調べてその怪異について知った。・・・そして先日裏山に入ったときには・・・・・」
封印が解かれていた。
「あぁ・・・・・・・・・・・なんとも欲の固まった甘美の塊が私の封印を解いてくれたぞ。」
「・・・・・・!!!!じゃぁ・・・・!!!」
「多分その封印を解いた人間は・・・・」
「あぁ・・・もう俺の腹の中だ」
にやりとする男。
「・・・・・・・・・この学校の生徒もみなそれと同じく糧にしてくれる・・・・!!!」
「だ・・・・・だめー・・・・・・!!!!!!!!」
蘭姫が男に向かおうとする。
と「危ない・・・・!!!!」と白刃がそれを制す。
次の瞬間。
「白刃先輩・・・!????」
白刃は石に代わってしまった。
「はははははははは!!!!!!!!残るはお前ひとり・・・・・どうする小娘!お前のような小さな生き物が俺を倒せるとでも思うか・・・・!???」
「つ・・・・っ!!!」
きっと蘭姫が男を見上げる。と
”鏡をあいつに向かってかざして・・・・!!!”
少し幼い。だが自分と似たようなしかし強い気迫を放った声が頭に響いた。
”お願い・・・・”
鏡の中のもう一人の私・・・・!!!!!
”あいつを・・・!!!やっつけて・・・・!!!!”
「第一の技・・・・!!!!!!桜吹雪・・・!!!」
ゴッ・・・!!!!!!!!!
鏡から大量の桜の花びらが沸き上がるように飛び放たれた。
「・・・っ・・・!???????なんだ!????」
男に向かってそれが放たれる。
そして・・・・・・・・・
舞い散る桜の中に背丈の小さな人影が見えた。
「・・・・・・・」驚いて声が出ない蘭姫。
ほろほろとさくらが地面に落ちていく中で。小さな少女は蘭姫に向かって振り向いた。
「やっと・・・・・会えたね・・・。」
華桜・・・・・・蘭姫。
私と同じ名の。小さな女の子・・・・・・・・・。