Stay With Me



会社の先輩が、彼氏と呼ばれる存在になった

ドラマやゲームはいらないから、ふたりで穏やかに生きていきたい

20代前半のチビなわたし、愛と
30代後半のノッポな彼、ハル

デコボコなふたりの日常備忘録

どうやら、一緒にいた方が自然みたい

話題:なれそめ

私が会社に入って一番最初に懐いた先輩がハルだった

私たち新人の面倒をよく見てくれて、みんなで飲みに行く機会もたくさんあって

その度

かっこいいなあ、優しいなあ、いい匂いするなあ、ってぼんやりとした憧れを抱いていた

スリーピースのスーツと、フレームの細い眼鏡がよく似合う、涼しげな目をした、とても知的な人

「君は、」って呼ばれる度、その余裕にドキリとした

けれど私みたいなチビの小娘、相手にされるわけないと思っていた



ある日、ふとしたきっかけで

ふたりで飲みに行くことになった


小さな居酒屋のカウンター席でふたり、熱心に語った

日本のカップラーメンの素晴らしさ、格闘技の面白さ、資本主義について、働くとは、人生とは、哲学とは

バカなことは大真面目に
真面目なことは軽口を叩きながら

波長が合うってこういうことかと思った

良い意味で、もうドキドキしなかった

それよりも、隣にいることに心地よさを感じた




お店を出て、さぁどうしようか、と

…俺はいくらでも付き合うけど

答えはもちろん、イエス

ブリティッシュパブに飲み直しにいった

彼の、イギリスでの大学生活や今までのキャリアについて聞いた

俺の話ばかりだな。君の話を聞こうと思って来たのに。

あまりプライベートを赤裸々にする人ではなかったから、話してくれたことが嬉しかった

他人に興味が無さそうな彼が、興味を持ってくれていることが嬉しかった

私はこの人のことがどうやら好きなようだ、と思った



時間が過ぎるのはあっという間で

終電、大丈夫?
私はまだあります。先輩こそ大丈夫ですか?
俺はもうアウト。タクシーで帰るよ
じゃあ私もいいです
まあ、ぼちぼち行こうか

甘ったるい雰囲気なんて一切なかったけれど、気づいたら寄り添っていて

気づいたら、寒いですね、寒いな、と

肩を寄せ合って歩いていた

あったかい所で休憩する?
そうしましょう

ちょっとそこのコンビニまで、みたく軽いやりとりで、ホテルに入った

そうして、当たり前のようにベッドに並んで腰掛けて、キス

彼の香りに、くらりとした

遊ばれててもいいか、と思ってしまった

そうして、2人一緒のヘッドで眠った


朝、目が覚めて身じろぎをすると、彼が私を抱き寄せてくれた

おはようございます
おはよう。朝かー、帰りたくないね。時間止まればいいと思う。
そうですね。…なかったことにされるかと思いました。
いや、俺は本気なんだけど、君はどうだろう
私だってそうです
よかった。良い先輩でいようと思ったんだけど。ダメだったな

私たちのはじまり方は綺麗とは言えないかもしれないけれど、

話したいから話す、触れたいから触れる、一緒にいたいからいる

そんな、自然なはじまり方だった

後日、彼が改めて想いを告げてくれて

愛が好きだよ。俺と付き合ってくれませんか?
はい、ぜひ。でも大丈夫ですか、こんな年下で
それは俺が心配、こんなおっさんだけどいい?
当たり前です
ん、よかった

そこから私は彼をハルと呼ぶようになり、敬語がとれた

ハルも私を、名前で呼ぶようになった

こんな可愛い子、離すわけにいかないな。大事にしまっておきたい

そうして私の居場所は、彼の腕の中になった

You and I would be easier as us
We don't need three words when just one could sum us up
We're a couple; a pair, it's apparent when we touch
You and I would be easier as us

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(16/01/28 00:47 )



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Easier As Us (prof) (bkm)

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