目標

昨日、旦那さんが家に着いてすぐに、帰りましたとメールを貰いました。
「短いけれど、濃い数日でした」


お疲れ様、ありがとう。
あなたの子供だから、産みたかったんだよ。可愛くて仕方ないんだよ。大好きなんだよ。また戻ってきて欲しいと思うんだよ。痛い思いしてでもまた産みたいと思うんだよ。
私に、つぶちゃんを授けてくれて、本当にありがとう。こんな結果になったけど、産めて、会えて、とても幸せです。
あの子で、本当に良かった。


「そう言ってもらえると嬉しいです。またあの子に会えると信じて日々頑張って行きましょう。急がずゆっくり僕ら4人のペースでね」


はい、また会えますように。
つぶちゃんも一緒に、4人でね。
…あと、私より先に死なないで。
お願い。


「ふたり一緒に死ねるのが一番いいですかね?出来るのなら一緒に年老いて死にたいと思います」


ふたり一緒とは、私のわがまま過ぎるので言いません。
でもせめて、ひとりにしないで欲しい。
もう、大事な家族を見送るのも、名前を呼んでも絶対応えてくれないのも、世界中探してもどこにもいないのも、想像しただけでとても怖くて仕方ないんです。
だから、次は私が逝きたい。次の順番は、私であって欲しい。


「けどそれだと僕がひとりになってしまいます。僕もそれはつらい。だからわがままとわかって言うけど、出来るならふたり一緒に年老いて逝けたらいいと思います」


そんなふうに思ってくれてるんだね、ありがとう。
出来るなら、陽だまりの中でお茶飲んでお菓子を食べて。そんなふうに年老いてから、一緒に逝けたらいいと思います。
お互いそう思ってるなら、わがままじゃなく、共通の目標みたいなものですね。


「では年老いるまで時間はかかりますが、共通の目標に向かって一緒に過ごして行きましょう。
あの子を初めて家に連れ帰り、簡単だけどお供え物もしました。喜んでいてくれたら嬉しいね」





私は、結婚してすぐに旦那さんにお願いをした。
私より先に死なないで、お願い、と。
そのとき旦那さんは絶対に「うん」とは言わなかった、その意味が、昨日のメールでようやくわかった。

私は、私が自分で作ったこの家族の誰もを、自分より先に見送るつもりがない。見送りたくない。
今回、自分の産んだ子を、自分で見送った。
だから、旦那さんが、まめちゃんが、私より先に…と考えるだけで、怖くて仕方ない。
火葬をして気持ちに区切りがついたその晩、つぶちゃんのことだけでなくいろんなことを考えて、怖くて怖くて仕方がなく、泣いて眠れなかった。

まめちゃんにはこれからたくさんの可能性が広がっている。
長い長い、人生を歩んでいく。
いつか来るこの子のひとり立ちをより良いものにしてあげたい。
だから私たちはその為に最大限の努力をする。

私はそれだけを考えて、先に見送るなんてこと、絶対に考えられない。
それはきっと、子を愛する親であるなら当然のこと。


いつか来る自分の終わりを旦那さんと話せたこと、しかも旦那さんと同じ気持ちで居られることを、とても有難いと思う。


まめちゃんを、そしてまたいつか出来るかも知れない子供を、ふたりで一緒に育て上げ、共に老い、逝くことが、私たち夫婦の目標です。




話題:家族
  




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