ホントのアタシ
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2018/04/16 08:06
その言葉が嬉しくて


まだ
桜が残る山道を
あたしを助手席に乗せ
車を走らせる姫

所々で
舞う花弁
木々の隙間から射し込む陽射し

行きたい!と言ってた温泉へと向かう道中

到着すると
綺麗な桜

その時に姫が
『ママを連れて来てあげられて良かった』と。

まだ
お腹の中に姫が居た時に
こんな日が来るなんて事をあたしは想像もつかない。
何故なら
医師から
不治の病との宣告を受けていたから。

難産の末
やっとやっと出逢えた姫に涙を流して
この世に無事に産みおとす事が出来た事に
感謝が止まなかった。

出産時に
大量の輸血が必要とされるとの医師の言葉に
同意書を書いた記憶も今では遠い記憶。
だけども
自然分娩で産めた事
いつの間にかその病は治っていた事
奇跡はおこるのだと感謝に感謝を重ねた。

握りしめた小さな手
とにかく健康で育って欲しいとのオモイしかない
分娩所要時間
30時間と7分
途中
帝王切開での説明が入るが姫の心音がドクっドクっと力強くモニターから聞こえ子供が大丈夫なら
自然分娩で!と力を振り絞り医師に伝え
そこでも又、サイン代わりの拇印をおした。

姫一歳の誕生日を迎え
程無くして
又してもあたしを病が襲った。
それは
壮絶だった。

明日の命の保証はなく
それでも頑なに
入院は断り続けた。

そして
大量的な薬を服用しながら離婚もして
母の住む街へと
バック1つと姫の手を握りしめ飛行機へ乗った

あちらでの生活も
身体がままならない時が多く
母の存在に随分と
いや
言葉では現せられない程の感謝の日々の中で
姫は成長してくれた

幼稚園時代から
なるべく自分の事は自分でさせた
どんなにクシャクシャでも髪を自分でとかさせて
髪をゴムで結ばせ
みつあみを覚えさせ
分からない事は図鑑を与え自分で知る
という事を身につけさせたおはようもおやすみも
いただきます

ごちそうさまも
そして
ありがとうも

明日
あたしが居なくなってもこの先姫が困る事がない様になるべく
困る事がないように
母親として
出来る事はした
そんな中
今度は姫が重度の喘息を患い
病院へ何度走ったかわからない。

発作で苦しむ姫を抱き締めて
大丈夫だよ
と語りかけながら
姫はゴミ箱を抱えて
呼吸が困難で
涙と吐きを交えながら
『たすけて』と
たった一度だけ言った。

この子がこんなに頑張って生きようとしてるんだ
こんなにも小さな細い身体で
そう痛い位に感じた時に
あたしも生きる事を
絶対に諦めない!!と決めた。

それから月日は経ち
姫は立派に
常識ある1人の人間へと成長してくれた
そしてあたしも生きさせてもらってる。
この奇跡にも似た親子の話。
そんな姫が
今はあたしの手をとり
歩いてくれる。

そして
明日は誕生日。

無事に又、1つ
歳を重ねられます様に。


『ありがとう』
すべての事に
『ありがとう』

昨日観た桜も絶対に忘れない。


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